2022年9月3日(土)に、青葉画荘美術部「ダーウェント インクテンス水彩色鉛筆を使ってみよう」を開講しました。その講座の様子をご紹介します。 【目次】 1. 水彩色鉛筆とは? 2. インクテンスの特徴とは? 3. 水彩色鉛筆周辺画材 4. 水彩色鉛筆の描き方 5. グラデーションで朝顔を描こう 6. 耐水性を活かして影をベース塗りしてからグリザイユ的に金魚を塗ろう 7. まとめ 8. 記事で使用したダーウェント インクテンスペンシルの色
【水彩色鉛筆とは?】
色鉛筆は大きくわけて3種類あります。 油性色鉛筆、水彩色鉛筆(水溶性色鉛筆)、パステル色鉛筆の3種類です。 今回使うダーウェント インクテンスペンシルは、「水彩色鉛筆」です。 水彩色鉛筆は、そのまま描けばペンシルタッチ、描いた後に水を含ませた筆でなぞると色が溶けだし、水彩画のタッチにもなるという色鉛筆です。
【ダーウェント インクテンスペンシルの特徴とは?】
ダーウェント インクテンスペンシルの大きな特徴は
1. まるでカラーインクのような高発色
2. 乾くと耐水性になる という、2点です。 今回の美術部では、それらを踏まえて線画に色を塗っていきます。
【水彩色鉛筆周辺画材】
・水彩紙
水彩色鉛筆で絵を描くときは、ぜひ水彩紙を使ってみてください。インクテンスペンシルのような画材は特に、発色の良さが顕著に出ます。 発色を追求するのであれば、アヴァロン水彩紙などがオススメです。コットン100%で300gの厚みの為プリンターは通りませんが、紙色は真っ白で、はじきが強いため絵具の発色がとてもきれいに出ます。吸い込みが遅いですが、その分紙の上で色を混ぜたり動かしたりも得意な水彩紙です。 今回の青葉画荘美術部では、プリンターで線画を印刷するということもあり、アルビレオ水彩紙を使用しました。 ホルベイン「ウォーターカラー スケッチブックA4」の中身はアルビレオ水彩紙です。 凹凸が強すぎず、カラーインクにも適した水彩紙です。また、各種水彩紙の中でもお手頃価格で、A4サイズでプリンターの手差しで印刷もできる151gという適度な厚みを持っており、青葉画荘美術部ではよく使用する水彩紙です。 線画を印刷して、水溶性画材の塗り絵をしたい時にはとてもオススメです。 ・水彩筆、水筆 色を溶かし出すことが主な用法なので、水含みがよく毛先のまとまりが良ければ、高級水彩筆である必要はないと思います。 また、水をためるタンクのような部分を筆部分と合体させて使う水筆は、水入れなどが不要の為、便利です。気軽に水彩色鉛筆を使いたい時にはオススメです。 ・シャープナー 水彩色鉛筆に限らず、専門家用色鉛筆は芯が柔らかいので、よく歯の切れるシャープナーを使いましょう。 オススメは、「クツワ ケズール」。ボディが透明なので、様子を見ながら削ることができます。また、芯の長さを変えることができるダイヤル式。水彩色鉛筆に限らず、色鉛筆ユーザーにオススメです。 べステックプロシャープナーも、国産の切れ味の良い歯で、柔らかい色鉛筆のシャープナーとして優秀なのでこちらもオススメです。
・耐水性ペン
今回は線画が印刷されたぬりえですが、ご自身で線画を描いて水彩色鉛筆で着彩するときは、水性顔料の耐水性ペンがオススメです。
水性ペンやボールペンなどで線画を描く場合、線画が水に溶けてしまいます。
油性ペンは水に溶けませんが、線画が紫外線で色あせてしまいますし、紙に描くと少しにじむので耐水性顔料ペンがオススメです。
【水彩色鉛筆の描き方】
水彩色鉛筆の描き方として、
・ペンシルタッチ
・水で溶かす
・パウダリング
・乾く前に描く
・ハッチングで重ねる
などがあります。水彩色鉛筆一つの画材で描き方はいろいろ。それらを踏まえて、「朝顔」と「金魚」を塗ってみましょう。
【グラデーションで朝顔を塗ろう】
ペンシルタッチ、水で溶かす、ハッチングで重ねるを組み合わせて朝顔を塗ってみます。
まずは、葉っぱの部分。
頭の上のところを少しだけ、「1000 ブライトブルー」で塗ります。
葉っぱの三分の二程度を「1400 アップルグリーン」で塗ります。
色鉛筆で塗っていない真っ白なところから、水を含ませた筆でなぞり、水分を上に押しやるように溶かしていきます。
そうすると緑→黄緑→薄黄緑のグラデーションができます。
濃い方から溶かしていくと、濃い色に薄い色が負けてしまうので、こちらの方がグラデーションしやすいです。
花びらの部分も同じように、「800 バイオレット」を中央に色を乗せて、色のついていない外側から水を含ませた筆でなぞり、色を溶かし出していきます。 塗れている紙の部分に色がにじんでいくので、線画の内側だけを濡らすように注意します。
この時点で、薄いような気がしたり、グラデーションが上手くいっていないなという場合は、もう一度上から同じ色を重ねて塗り、溶かし出します。インクテンスは乾くと耐水性になる為、層が重なることで色が濃くなり、自然と修正ができます。
乾いたら、ハッチングでタッチを重ねて完成です。 色を溶かし出した状態だけでも良いですが、ペンシルタッチを重ねることで、より質感がでます。
【耐水性を活かして影をベース塗りしてからグリザイユ的に金魚を塗ろう】
インクテンスペンシルは、水で溶かし出した後は耐水性になるという特徴があります。
その特徴を活かして、グリザイユ技法っぽく塗っていきます。
まず、金魚の陰になる部分を「840 アイアンブルー」で塗っていきます。 仮に左上から光が差しているとして、右下部分や、波打つしっぽに影を塗ります。鱗の立体感を意識しながら塗っていきます。
全部塗り終わったら、色を溶かし出します。この時も、朝顔の時と同じく、何もないところから水分を押しやるように溶かします。
このときに溶かし残しがあると、上から重ねた色が濁るので、しっかりと溶かし出します。
インクテンスペンシルは、アイアンブルーのような濃い色は特に、ドライの時と色を溶かし出した時の色の差がありますので、色を確認してから塗ると良いと思います。
乾いたら、上から「400 ポピーレッド」を重ねて塗ります。「840 アイアンブルー」で塗ったところも気にせず、上から塗り重ねます。
頭の光が当たっているところはあえて塗り残すようにします。
アイアンブルーを溶かした時と同じように、何も塗っていないところから水で溶かし出していきます。
このようにすることで、影のレイヤーの上に、赤の透明なレイヤーが重なり、立体的な金魚になります。
影の色が濃かったなと思った場合は、赤をもう一度上から重ねれば赤が強くなります。
金魚の背景は、パウダリングで描きました。
インクテンスペンシルの先をカッターで削り、粉状にしたら、ティッシュで紙面にこすります。そうすることで、パステルで描いたようにやわらかな風合いが出ます。
パウダリングして色をつけたところは、消しゴムで消すことができるので、はみ出したところは消しゴムで綺麗にしましょう。
【まとめ】
いかがでしたでしょうか。 1本でいろいろな描き方のできる便利な画材・水彩色鉛筆。ちょっとしたイラストやスケッチにも便利です。 その中でも、ダーウェント インクテンスペンシルは、カラーインクのような高発色と、水で溶かし出した後は耐水性になるという他にはない特徴があります。 水彩色鉛筆を使ったことがある方は、その特徴に新しい使い方ができると思いますし、水彩色鉛筆を使ったことがないという方は、ぜひインクテンスペンシルの発色の良さを楽しんでいいただきたいなと思います。
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また、弊社通販サイト・画材販売.jpでもお取り扱いがあります。こちらはネコポス発送対応になっていますので、気になる色を何本かだけ購入したいという方も、送料を抑えて購入することができますので、ぜひご検討ください。
【記事で使用した、ダーウェント インクテンスペンシルの色】
<金魚> 840 アイアンブルー 400 ポピーレッド
200 サンイエロー ※こちらの記事で使用した色は、9月3日の講座に付属していた色鉛筆とは異なる色もあります。 ※陰に使用した「840 アイアンブルー」の青さが気になる場合は、「1100 ディープインディゴ」も影の色としてオススメです。
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